富士宮

平成24年度 富士宮市中小企業大学 第六講

平成24年度 富士宮市中小企業大学 第六講

日 時   平成24年11月13日
講義内容  母なる太陽
講師    静岡大学 名誉教授 天岸祥光氏

講義は原子力エネルギーとは何かから始まった。エネルギーとの関連で、熱の発生方法には化学反応と核反応とあり、生活環境のほとんどは原子の外殻電子の結合による化学反応である。核反応は外殻電子に関係なく、原子核の融合あるいは核の分裂によって発生する、これが原子力エネルギーである。核反応により発生する放射性物質は、一切変化せず半減期に従って減少する。セシウム137は30年、ウラン235は7億年で半減する。福島原発の事故以来ヨウ素の備蓄が言われているが、ヨウ素には放射性のヨウ素131と安定したヨウ素137があるが、人体はどちらもヨウ素として甲状腺に摂取してしまう為、安定型のヨウ素137で飽和状態にして、要素131を摂取することによる被爆を防ぐのである。

原子力エネルギーはアインシュタインの相対性理論で測ることができる。
E(エネルギー) = m(質量)c2 (光速)

原子力エネルギーには2種類、核分裂と核融合がある。核分裂は原子爆弾や原発に使われ、放射性廃棄物を放出する。太陽は核融合でエネルギーを出している。核融合は廃棄物を出さないクリーンエネルギーだが、大きな圧力を必要となるため、未だ人工的には生み出せていない。

核融合はプラズマ状態で起きる。ではプラズマとは?温度の上昇に伴って固体(氷)が液体(水)に、そして気体(水蒸気)に、さらに高温になるとプラズマになる。宇宙の99.999…%はプラズマ状態である。我が太陽は高温・高圧のプラズマの塊で、中心で核融合を起こしている。夜空に輝く星(恒星)はすべて核融合を行って光っている。星の温度は明るさで測ることができる。太陽の寿命は100億年で現在半分近くきているが、赤色巨星となって消えていく宿命である。

最後にエントロピー増大の法則についての講義にうつる。全てのものが「放っておくと」エネルギーが保存されていても、ランダムな方向(死の世界)へ進み、「そのままでは」元に戻らない【不可逆過程】。しかしエントロピーを減少させることによって、元に戻すことができる。人間も原理は同じで、放っておけばエントロピーが増大して死を迎える、食べるという行為でエントロピーが減少し生命が維持される。地球上のすべての動植物が太陽エネルギーによってエントロピーを減少させ、連鎖を起こしている。太陽こそがエントロピーを減少させ、我々の生命を維持してくれる『我々の母である』

★報告:河原崎信幸(シンコーラミ工業株式会社)


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