富士宮市中小企業大学09 第四講報告 「構造改革とは何だったのか」
平成21年度 富士宮市中小企業大学 第四講
■開講日 10月20日
「構造改革とは何だったのか」 「三位一体の改革」がもたらした市民への影響
講師 静岡大学 人文学部教授 川瀬憲子氏
先生は構造改革によってもたらされた地方財政の疲弊に焦点を当て、その問題点と今後の課題について講義された。
1995年に制定された地方分権推進法、合併特例法改正そして地方分権推進委員会の設置から、国は行政のスリム化や財政構造改革論により、国庫支出金の廃止・整理合理化、そしてその受け皿としての市町村合併奨励策が進められていった。
1998年には地方分権推進計画の下、人口4000人未満の市町村への地方交付税の削減が行われ、翌年には合併特例法が改正された。
2000年、地方行革大綱が発表され、小泉内閣により特殊法人改革、地方交付税改革が行われた。
2002年、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」において、「国庫補助負担金、交付税、税源移譲のあり方を三位一体で検討」と記され、「三位一体の改革」が始まった。
「三位一体の改革」の目的とは、「効率的で小さな政府」の実現のために、地方の財源を増やし、自らの権限、責任で住民サービスを行う幅を拡大することであった。しかし、税源移譲より国からの補助金や交付税の縮小が先行したため、地方財政は厳しい状態に追い込まれた。住民生活においても、個人住民税が5~13%の3段階累進税率から一律10%となった為、低所得層の負担が増してしまった。
2006年、夕張市が財政破綻し、財政再建団体の指定を受け、翌年「地方財政健全化法」が成立したが、その新指標により財政再生基準は地方自治体にとって厳しい基準となった。
先生は終わりに、市町村の役割りの重要性を認識することが大事であり、ナショナルミニマムやシビルミニマムを保証する理論を確立しなければならない。
地方交付税制度の持つ財源保証機能を高めていく必要がある。課税自主権などの自治体財源の確立と情報開示を徹底し、共同参画型福祉社会としての地方自治を発展させる。
税負担の公平性を重視する。そのためにも住民税所得割はゆるやかな累進構造が望ましく、課税最低限を引き上げるといった措置が必要である。と今後の課題を提案し、講義を閉じた。
報告:シンコーラミ工業株式会社 代表取締役 河原崎信幸