富士宮

10月zoom例会

 

富士宮支部10月zoom例会

「社長の仕事」してますか?

~人の2倍働いて、3倍遊ぶをモットーに~

報告者:有限会社 洋和鉄工所 代表取締役 渡辺克洋氏

 

 

 

 

10月9日(金)、富士宮支部10月zoom例会が開催されました。報告者は、富士宮支部のムードメーカーである(有)洋和鉄工所代表取締役渡辺克洋氏。「社長の仕事してますか ~人の2倍仕事して、3倍遊ぶをモットーに~」と題して語っていただきました。

 

zoom例会の様子

 

(有)洋和鉄工所は昭和38年に創業し、大型精密機械部品の金属加工をしています。工場には業界最大級の超大型加工機を13台設置しており、公的な有名な仕事も受注し、大型加工かつ10ミクロンの精度の加工を得意としています。現在の取引先は100社を超え、従業員数は25名です。

渡辺氏は昭和46年10月に渡辺家の長男として生まれました。子供のころは大変貧しく、ご両親は毎日朝から晩まで働きづめで依頼された仕事は決して断らずなんでも対応していました。渡辺氏にとっては工場が遊び場でもあり、モノ作りが好きになり特にプラモデル作りが得意でした。大学卒業後は横浜の会社の就職しましたが、3年ほどしたときに、お父様から「子供たちを大学にいかせるのは本当に大変だった、そろそろ、こっちの仕事をやってみないか」と言われ、父の性格からしてまるで弱音を吐くような言葉に驚きました。その言葉を真剣に考え、父が自分自身の人生を犠牲にするかのように働き続け、その上に成り立ってきたこの会社を引き継ぎたいと思うようになりました。26才で入社し、業界で一番大きな会社にしたいと思い、毎日機械の勉強をしながら日々の仕事をこなしていました。その時は工場には5台の機械があり、1日18時間のフル稼働で、休む暇もなくがむしゃらに働いていました。2000年頃は製造業が最も忙しい時代で、液晶製造ラインの製作の仕事で多忙を極め、機械を毎年1台増やすほどの仕事量でした。35才で専務となり、まだまだがむしゃらに働く自分に対して、仕事そこそこに帰ってしまう従業員に意見を言うようになり、ギスギスとした空気に社員との温度差を感じて悩みました。その様な中でも、仕事が多忙なため、プログラミングで全自動加工できる機械を導入してギスギスしていた社員にも導入と操作方法を説明して、効率よく生産性を上げる体制を作っていきました。

その後、2008年のリーマンショックにより人生最大のピンチを迎えました。あれほどあった仕事量にブレーキがかかり、従業員は掃除の日々、仕事がない苦しみを味わいました。そして父が脳梗塞で倒れ、これをきっかけに社長を交代しました。その時の売り上げは例年の20分の1となり、機械の支払いに苦しみ、弟のようにかわいがっていた若手社員が退社し、自分自身に問題があるのかと思い、そのときから様々なセミナーに参加しました。そのなかで、同友会の例会に誘われ、バズでの討論に感動して即入会を決意しました。そして、あるとき、日本一高いタワーの免振の部品の仕事の依頼がきました。1週間という大変厳しい納期の仕事でしたので、社員に相談したところ、「やりましょう!」という声があがり、社員一同取り組むことになりました。みんなの努力により、5日で納品ができ、取引先も大変喜んでくださり、信頼されるようになり、仕事が増えていきました。しかしながら、社内のギスギスした空気はなくならず、これを緩和しようと思い、給料を手渡しして社員との会話を増やしてみたが、口論になってしまうことがあり、一人また一人退職していってしまいました。従業員数が減れば、社長である自分がさらに遅くまで働くしかなく、目の前の仕事をこなすことが精いっぱいで同友会にも参加することができませんでした。

あるとき、ツーリング先で同業の鉄工所の経営者さんと出会い、意気投合して、その会社は小型品の仕事を得意としていたため、小型品の仕事を依頼し、大型品の仕事は紹介してもらう仲になりました。その会社では笑顔があふれていてお客さんと楽しく会話しており、その社長から、「君は職人としては尊敬するが、社長としてはどうだろう」と指摘されたことをきっかけに、いつも下を向かずに笑顔でいるようにしました。社員との関係性も考え、ひとつの工夫として、何か気づいたときはその社員に直接話をするのではなく、工場長に確認してみて、工場長から話をしてもらうようにしました。そうしていたら、社員に笑顔が戻り、退職する従業員がいなくなり、良い仕事を選べるようになりました。そうして今年から自分自身は機械のオペレーションに立たなくして社長の仕事に邁進するようにしました。社長の仕事のひとつとして、社員が働きやすくなるように、社員を導くように、社員と会社との関係がより良くなるようにしていきました。その一つとして、社員の昇給や賞与の評価は、客観的に自分以外の目が必要だと思い、評価表を導入しました。さらに朝礼で、社員一人に今感じていることを話してもらい、社員たちで仕事のルールを決めるようにしてみました。その結果、来社する取引先の方々から「会社が明るくなりましたね」と言われるようになりました。

これまで金属加工の腕には自信がありましたが、社長としての仕事から逃げていたのかもしれません。しかし、社員と向き合い、社員の生活を第一に考えるような会社を作るようにしたことで、お客様から必要とされる会社になってきたと思います。気持ちとしては2倍働いて3倍遊ぶと思っていますが、0.8倍働いて2倍遊ぶような気持の余裕をもって社長業に取り組んでいます。これから、リニア新幹線の大型品の仕事が控えています。この仕事を社員とともに笑顔を絶やさずやり遂げ、後世に残る会社を作っていきたいと思います。

 

 

、という報告でした。職人から経営者となった渡辺氏。そうなるには45分間の報告では時間が足りないほどの苦悩があり努力をしてきたのだと思います。それを柔らかい口調でさらっと笑顔で語る渡辺氏に、経営者としての真の強さとやさしさを感じました。

ちなみに、

笑顔になることで顔の表情筋が刺激を受け、それが脳にフィードバックされると、ポジティブな感情が生まれる。それが、アメリカの心理学者トムキンス氏が発表した「顔面フィードバック仮説」だそうです。脳科学の視点からも、笑顔を浮かべていると脳が楽しいと勘違いしてポジティブな思考になりやすくなります。笑顔は人生をよりよくする最大のコミュニケーション術でもあり、幸福度がアップします。しかも笑顔は周りに伝染し、周りの人も幸せな気持ちになります。

 

「笑う門には福来る」

 

皆さんも克洋さんのように笑顔を実践してみたらいかがでしょか。


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