富士宮

富士宮市中小企業大学 最終稿 無限集合を考える

日時:平成23年11月15日(火)19時

講師:静岡大学理学部 准教授 依岡輝幸氏

講義:無限集合を考える

若き数学者、依岡先生の講義である。「実数はいくつあるのか」から始まった。実数とはそもそも何でしたっけと中学高校時代の数学を思い出すが答えが返ってこない。自然数、整数、有理数、無理数はなんとなく理解ができるが。ゲオルグ・カントルはこの問題を提起し、その研究に命をささげて精神を病み、解決できぬままこの世を去る。クルト・ゲーデルもその問題に没頭し精神を病み、この世を去る。依岡先生、そんな研究をして大丈夫ですか。

実数を定義するために、有理数が使われ、有理数を定義するため、整数が使われ、整数を定義するため、自然数が使われる。では、自然数を定義するのに何が使われるのか。自然数を哲学的に定式化したゴットロープ・フレーゲは「概念の外延」と定義。例えば、リンゴが2つあるとしよう。この2つのリンゴが2つのリンゴとする概念だとすると頭の外側の方で2という自然数が存在している、そんな理解でいいのかしら。自然数には順序と演算が入る、小学生的だな。自然数には、帰納法と呼ばれる法則をもつ。その法則を説明する能力はないです。整数は二つの自然数の差で表す、負の概念の出現。有理数は2つの0でない整数の比1/2、-1/2それはわかる。2つの異なる有理数の間に別の有理数が存在する・ ・点を有理数とするとこの間に無限の有理数が、すなわち点の間に無限の細いペン先で、点を書くことができる。それをミクロの目で見れば点の間に無限の空間が横たわっている。ウサギはカメを追い越すことができないのかとふと頭に思いつく。

実数とは有理数と有理数でない数のことである。すなわち無理数のことである。2乗すると2になる有理数は存在しない、それが無理数。証明していただきましたが、理解不能、ただ証明の仕方は理解できそう、帰納法を使うんですよ。ここまで、大学の授業で6回の講義が必要だそうです。本講義では30分、大学生とは頭の出来が違う。

実数とは、次の性質を満たす有理数の集合Rのことである。1:aがRに属す時、aより小さい有理数はすべてRに属する。2:Rに属さない有理数が存在する。理解できます?そのあと依岡先生の研究テーマに入る。福島原発事故を受けた日本数学会の声明を抜粋してレポートを閉じます。「いい加減な情報に一喜一憂したり、情報操作に簡単にだまされたりすることなく、複雑な現代社会を賢く生きるためのスキルとして、数学的思考をできるだけ多くの国民が身につけてほしいと考えます。」

知的にすてきな時間を共有しました。

報告:黒松 健太郎 (黒松健太郎税理士事務所 所長)


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