富士宮市中小企業大学09 第六講報告 「地球 青い星の水の物語」
平成21年度 富士宮市中小企業大学 第六講
■開講日 平成21年11月10日
講師 静岡大学 理学部教授 加藤憲二氏
「地球 青い星の水の物語」 生物の進化
加藤先生は始めに、「生命とは何だろう」と今日のテーマを投げかけた。
「私」を決めているのは何?と問いかけ、「キメラ」を題材にして、私を決めているのは大脳ではなく、免疫等の生体の仕組みであると定義付けた。
「生命はずっと水(海)の中にいた」
生命が存在するためには、水が固体でも気体でもなく、液体として存在する必要がある。地球が誕生して数億年後には地上に水が存在し、37億年前には原核生物(細菌)が誕生した。現在でも、温泉の源泉部の酸素がほとんどない過酷な環境にも、バクテリアは存在している。水が紫外線を遮断している間に、光合成を行う生物が誕生し、地上に酸素が生まれた。生命が上陸したのは、オゾン層が形成された、わずか数億年前の事である。
地球が水の惑星となったのは、地球の太陽からの距離、地球の体積・質量等の要因がある。先生は、その要因を当てはめると、「火星にも生命は存在しているであろう」と話された。
地球上に最初に現れた細菌は、二分裂で増えていったが、寿命と言う概念はない。生物の寿命はその個体の大きさに関わりがあり、大きいほど寿命は長い。
さらに顕著に現れるのは、成熟するまでの時間であり、微生物・昆虫・哺乳類と体の大きさと比例する。人間だけは例外で成熟に時間がかかるが、幼形成熟により頭蓋骨に変化がないため、大きな脳を持つ事ができた。
富士山の麓に暮す我々は、豊かな水に恵まれている。富士山地下圏には22億トンの水瓶があり、10~20年の年月を経て地上に湧き出している。富士山湧水の溶存酸素濃度は飽和状態であり、細菌数においては超純粋に匹敵する。先生は「田子浦の浄化に湧水が関係しているのでは」との仮説を立てて調査を行い、河川の流入部より塩分濃度が低い事で証明された。
地下圏3kmにバイオスフェアーが広がり、そこに多くの微生物がメタンを食べ、生きている。生態系は地下から地表へつながっている。
地球の寿命は半分が過ぎたと言われている。地上の生物はタンパク質がDNAに情報を預けて成長してきた。地下10kmから地上10kmの地球の表面で、40億年行われてきた生命の営みの中に、私たちは存在している。
私たちも地球の一部である事を意識したい。
報告:シンコーラミ工業株式会社 代表取締役 河原崎信幸