富士宮

富士宮支部7月例会

7月4日(金)、志ほ川バイパス店にて7月例会が開催されました。

報告者は、(株)タケウチ 竹内昭八 代表取締役会長で、「中小企業振興基本条例が描く未来と地域に生きる中小企業の果たす役割」と題して、ご自分の半生を振り返りながら60分間、熱い報告をして頂きました。

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日用雑貨の卸問屋である(株)タケウチは、竹内商店として先代が1931年に創業後、1968年に法人化、1986年に現在の社名に改称、1991年に郊外型配送センターの建設・本社移転と、創業以来順調な成長を続けてきましたが、1990年代に入り激動の時代を迎える中、大幅な規制緩和が実施された影響をまともに受け、大型店との圧倒的な競争力の違いによる売り上げ減少に苦しみながらも、何とか活路を見いだすべく飽くなき挑戦を続けている会社であります。

この圧倒的な競争力の違いによる影響は、1989年に全国で1,540社あった日用雑貨卸問屋が、10年後の2000年には936社、昨年2013年には305社にまで減少しているという事実(25年間で8割減)を示しただけでも十分理解できるかと思います。それだけ激しい、吸収・合併・廃業が行われてきたということです。

中小企業が不当な競争に晒され、地域の小さなお店がどんどん潰れ、地域が疲弊していく中で出会ったのが、2000年に採択されたヨーロッパ小企業憲章で「小企業はヨーロッパ経済の背骨である。小企業は雇用の主要な源泉であり、ビジネス・アイディアを産み育てる大地である。」で始まる文章に大きな衝撃を受け、そこから、それこそのめり込むように憲章学習運動に参加し、そこでの精力的な活動が、やがて憲章・条例推進運動に発展し、富士宮市中小企業振興基本条例の草案作りから制定目前(今年度中制定予定)にまで漕ぎ着けた、という実績に結びついています。

我々富士宮支部の人間が全国大会に出掛けた際、他県の代表理事クラスの方と名刺交換すると必ず、「竹内さんのいる支部ですね、竹内さんはお元気ですか?」と異口同音に答えて頂きますが、それは、竹内さんの果たしてきた役割や影響がとてつもなく大きかったことを端的に表している事象ではないかと思います。

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竹内さんは、我々に問いかけます。「人間本来の豊かさとは何でしょうか。大量生産、大量陳列、大量消費、大量廃棄される今の生活スタイルが果たして豊かと言えるのでしょうか。当社で扱っているシャンプーは現在200種類を超えています。全く売れずに廃棄されてしまう銘柄もたくさんあります。消費者ニーズという作られた虚構にいつまでも自分の判断を委ねていて良いのでしょうか。」

行き過ぎた市場原理主義がもたらす「常に敗者を作りだすことでしか成長することが出来ない」という弊害と、既に突入した人口減少社会を考えると、今のままではこの先、地域社会は成り立たなくなってしまいます。

未来を担う子供たちに安心して生きていくことができる地域社会を引き継ぐためには、「持続可能な社会」を実現していくことが不可欠ですが、その実現のためには、いわば理念というべき「条例」が必要であり、その担い手として我々「中小企業家」が必要となってきます。

「歴史を振り返ってみても、時代の節目々々で中小企業家が大きな役割を果たしてきたが、これは、自らリスクを背負い挑戦し続けてきたからこそ持てる鳥の目虫の眼を持っているからである。だから我々中小企業家こそ、時代をリードしていく資格があるのです。」という力強い言葉で報告をまとめて頂きました。

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バズテーマは、「地域の中で自社が果たすべき責任とは?」だったのですが、市場原理主義がもたらす弊害はどの業界の方にとっても深刻な問題となっているため、どのテーブルも活発な意見交換が行われていました。

持続可能な社会を実現させるためには、竹内さんの言った「競争的共存」という言葉がキーワードになりそうです。

また、報告の冒頭で引用された、百貨店の日曜休業の見直しを提案された際に、パリ市初の女性市長アンヌ・イダルゴさんが答えた、「小さな店が織りなすパリらしさを失いかねない」という言葉が持つ意味を我々自身で考えることが、新しい生活文化を創造する時代の入口となるかもしれません。

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例会後、会場をこまつやさんに移し深新の会(二次会)が行われましたが、他支部の方を含め21名ものご参加を頂き、活発な意見交換が行われ、大いに盛り上がりました。

ご自身を「ロマンチスト」とおっしゃる竹内さんの両隣には「竹内さんの隣なら参加する」とおっしゃってくださった二人の乙女に座ってもらい、三人共暖かいお茶を飲みながら、さながら女子会のノリで会話が弾んでいたようでした。

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最後に、富士宮支部の誇るミスター同友会の二名を中心に、その予備軍?が囲んでの記念撮影を行いました。

それぞれの記憶に大きく残る、とても良い例会になったと思います。みなさま、どうもありがとうございました。

参加者:54名 支部会員:45名 他支部会員:6名 オブザーバー:3名
(三島支部:☆三田宏一様 沼津支部:大神田浩司様 富士支部:☆佐野譲二様、西村知浩様
静岡支部:☆松下恵美子様 磐田支部:☆山崎眞様) ☆印:県条例草案作成WGメンバー


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