富士宮

富士宮市中小企業大学 第三講:震災後の再生可能エネルギーと・・・

日時   平成23年10月11日(火)

講師   静岡大学工学部助教 松尾廣伸

講義   震災後の再生可能エネルギーへの期待と住宅のエネルギー消費

東日本大震災以来、エネルギー(特に電力)の供給問題が焦点となっている。東日本での電力不足はもちろんだが、浜岡をはじめとして原発の停止は、これからの日本の電力需給のあり方が大きく問われている。今年の夏は、自動車業界の休日変更等の産業界の努力や、市民の省エネ努力によって乗り越えたが、50Hzエリアは、冬のピークは夕方にあり、夏と違ってピークとボトムの差が小さく、ピークの時間が長い。まだまだ安心できない。

現在国内の電力供給は、石油・石炭・天然ガスによる火力発電、原子力発電、水力発電に依存している。火力発電においては、燃料を輸入に頼らざるを得ず、価格・供給量とも安定せず、CO2の排出量の問題が常にある。原子力発電においては、ウランの採掘が特定地域に偏っておらず、価格が安く安定供給が見込め、CO2の排出はほとんどなく、国の計画では2030年には発電量の50%を原子力で補う計画になっていた。しかし、原子力発電は本当に安価なのであろうか。設備の償却年数等に作為的なことを感じる。

ここで現在注目されている、再生可能エネルギー(新エネルギ-・自然エネルギー)による発電について考えてみよう。水力発電の発電効率は非常に高いが、巨大なダムの建設等で自然環境に影響を及ぼす。風力発電も発電効率は高いが、騒音・振動等で人体への影響がある。漁業権や鳥獣保護の問題が解決できれば、海上での風力発電は将来性がある。

太陽光発電はどこにでも設置できるし、人が活動している時間帯に発電するので、平準化する必要がない。しかも効率が規模にほとんど依存しない為、分散設置することにより、送電設備・送電負荷を軽減することができる。

今後は太陽熱・地熱の利用も増えていくだろう。

そして、創エネと省エネをバランスよく行う生活が、これから求められていくだろう。

国産の再生可能エネルギーを増やし、環境への負荷を減らす生活スタイルを。

ありとあらゆる所に太陽光発電があり、負荷変動抑制のための蓄電も行われる。

そんなエネルギー構造改革が起こり、それがビジネスチャンスとなる。

再生可能エネルギーによる、環境にやさしい循環社会を目指しましょう。

日本の電力事情を考えると、大型の発電所の存在を無視することはできないが、エネルギーの構造を太陽光発電中心の再生可能エネルギーに転化していくことが強く求められている。そしてその方向にビジネスチャンスが見えてくる。

報告:河原崎信幸(シンコーラミ工業株式会社 会長)


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