富士宮
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富士・富士宮支部 6月合同例会

6月13日(金)、富士・富士宮支部合同例会が、この4月に新しく出来たばかりの富士宮駅前交流センター「きらら」を会場に、富士宮支部53名・富士支部33名・他支部5名・オブザーバー4名・事務局2名、合計97名という多くの方々のご参加を頂き、開催されました。

講師は、昨年3月の県役員研修会でも講演を頂いた、兵庫同友会代表理事 藤岡義巳氏 [(株)イーエスプランニング 代表取締役]で、「良い会社への道標、同友会型ビジョナリーカンパニーへの道」と題し、70分間キッチリ・ピッタリ話して頂きました。

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藤岡義巳 兵庫同友会代表理事

 冒頭、「二次会の出欠を最初にとる支部を初めて見ました」と、軽くイジられた後、静岡には青全交での分科会報告や経営指針づくりで大変お世話になっていて、又そういう縁があったからこそ、こうして講演が出来ることを大変嬉しく思っているというお話を頂いた後、早速本題に入りました。

まず、タイトルにもある「同友会型ビジョナリーカンパニー」についての説明です。

これは、兵庫同友会で5年毎に更新している「ビジョン」(支部方針)の中で打ち出されたもので、「経営指針を作ったから良い会社になったと思い込んで、ホッとしている会員が多いけれども、どうもそれは違うんじゃないか」という疑問から、「じゃ、良い会社って一体何なのだろうか?」ということを深く掘り下げて議論した末に出来たものです。

会社の状況を5つにステップ分けし、各ステップ毎にクリアすべき事項を併記しているので、一目で自社の立ち位置、やるべきことが明確に分かるようになっています。
そして、そのステップでの課題をクリアし、次のステップへと登って行くことで、最終的に「なくてはならない企業=同友会型ビジョナリーカンパニー」を達成するという仕組みになっています。

もちろん、なくてはならない企業になるためには、相当の努力が必要ですし、途中の段階で必ず「よこしまな考え」や「悪魔の囁き」に惑わされ、遠回りをしたり最悪の場合会社を潰してしまうこともある、とても険しい道のりです。
(藤岡さんは、みずから悪魔にすり寄って行ってしまった、と仰っていましたが・・・)

次に、最近の外部環境の変化(消費税、人口減少、大手の参入)について、お話をして頂きました。

特に人口減少は、マーケットが縮小するだけでなく労働力も縮小するというダブルパンチであり、大企業が今後順調に業績を上げていけば、中小企業に人材が全く廻って来ないことを大変危惧されていました。
(ユニクロが大々的に方針転換したことは、みなさんの記憶にも新しいと思います)

また、マーケットが縮小していくわけですから、今まで中小企業のフィールドだった場所に、大手がシステムを武器に乗り込んでくる時代に既に突入していて、現に、藤岡氏が事業展開している神戸三宮エリアに、業界最大手が社員を多数抱えた新しい拠点を作ったことで、戦略の練り直しを余儀なくされているそうです。

知らぬ間に大手と競争する時代に突入し、大手がそのネームバリューを生かし、緻密さと便利さとを前面に押し出されてしまうと、今まで「いい加減なやり方」で通用していた中小企業はひとたまりもありません。
「大手が参入しても負けない仕組み」作りが、早急に必要であることを肝に銘じました。

又、今後大手と向き合っていくための方向性を3つ示して頂きましたが、どれも示唆に富んだ素晴らしいものでした。

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会場は、ほぼ満席となりました

次に、「イーエスプランニング(ESP)を概観する」と題して、ご自身の会社の内容についてお話して頂きました。

当初建築設計事務所として開業し、震災復興特需が落ち着いた頃から不動産管理事業を始め、そしてその中から駐車場管理事業に特化させてきた今の会社の姿は、お客様のニーズに応えながら、時代の動きをしっかり分析して対応してきたという会社の姿勢そのものであると感じました。

その分析力は駐車場運営でもしっかりと生かされていて、「駐車場はメディア」と言い切ってしまうほどデータを徹底的に分析し戦略を練り、アイディア溢れながらも合理的な企画を次々に打ち出して、業績を伸ばしています。
「我々の商売は、たった単価800円の仕事ですが、これだけ徹底的にやるんです。」という言葉は、そこまで徹底的にやって来たという自負があっての発言とだけ思うのではなく、発言の裏側に込められた、「もっと単価の高い商材を扱っている皆さんなら、もっと徹底的にデータ分析をして戦略を練ってください」という我々へのエールと感じ取ることが大事だと思いました。

最後に、同友会での学びについて、①コンテンツを学ぶ(経営理念・共同求人・人を生かす経営) ②人から学ぶ(同業・異業種・運営) ③すべては自社をよくするための活動(同友会3つの目的の順序・自主民主連帯の精神) という3点に分けてお話して頂きました。

そのなかで、同友会3つの目的(良い会社を作ろう、良い経営者になろう、良い経営環境を創ろう)には順番があり、「良い会社を作ろうという挑戦が、良い経営者を生む」というお話が、とても印象に残りました。

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バズセッションでの活発な意見交換

 バズテーマは「(~にとって)良い会社とは、どういう会社ですか?」で進められました。

今回は、テーブル数が多くて各テーブル発表が出来なかったり、バズテーマが漠然とし過ぎていて進行やまとめが難しかったりという問題点がありましたので、その点は今後改善していきたいと思っています。

その後、会場を「きらら」隣のFujiyama TAPASに移して懇親会を開催しました。

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おいしい料理とお酒を飲みながら、支部を越えた会員同士の交流を深めていました。

参加人数も多く、活気があり、内容も素晴らしい、とても良い例会になったと思います。

企画や準備、設営で頑張って頂いた方々のお蔭でもあります。皆さま、どうもありがとうございました。


第23回中同協役員研修会イン富山-4

最後に、講義以外の内容の紹介と、今回の役員研修会のまとめを行いたいと思います。

1日目の夕食交流会では、愛知同友会橋田事務局長と席が隣同士となったため、愛知同友会での活動を話題の中心に、様々な意見交換をさせていただきました。
また以前、富士宮支部担当で、その後愛知同友会事務局へ行った、八田事務局次長にもご挨拶が出来ました。
(だいぶ前で、しかも担当期間がとても短かったのですが、私のことを覚えていてくださいました)

2日目の朝は、早めにチェックアウトを済ませ、路面電車(富山ライトレール)に乗って富山港へ。

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カラフルでカッコイイ路面電車でした

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5分程しかいませんでしたが、10年振りに見る日本海でした

研修会の帰り道は、ちょっと寄り道をして、世界遺産五箇山合掌集落に行ってきました。

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世界遺産の割りには、かなり生活臭(BSアンテナやらプラスティックのコンテナやら自転車やら)がにじみ出ていて、もう少し「観光地らしく」したほうが良いような気が致しました。

しかしそうは言っても、普段なかなか行くことが出来ない場所に行けたことはとても良い経験ですし、それが出来るのが全国行事の魅力の一つではないかと思います。

今回の役員研修会で一番感じたことは、中同協の御三方(赤石相談役、鋤柄会長、広浜幹事長)は3人ともとても素晴らしい方々だったのですが、最初から素晴らしい経営者だったという訳では無く、同友会での活動を自社でしっかりと実践し、多くの失敗を重ねながら、良い会社にしてきたからこそ、こうして我々の前に立っていることが良く分かったことでした。

講義の途中で頻繁に出てきた自社の失敗談、経営上の大きな決断、不測の事態への対処など、経営者ならではの深い話がたくさん聞けたことも大きな財産となりました。


第23回中同協役員研修会イン富山-3

2日目の第3講は、『「同友会運動の発展のために、同友会理念と企業づくり」~学べる組織、減らない組織、増える組織をめざして~』と題し、広浜泰久中同協幹事長にこれまた90分「みっちり」と講義して頂きました。

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今講のレジュメを以下に紹介致します。

1.自己紹介

2.「同友会の三つの目的」とは
①「よい会社をめざす」
・労使見解・・・経営者の責任、真の人間尊重
・経営指針・・・理念・方針・計画、社会性・人間性・科学性、ポイントは?
②「よい経営者になろう」
・時代を切りひらく総合的な能力・・・生き方を問われる同友会運動、自主・民主・連帯
③「良い経営環境をめざす」
・条例・憲章・・・中小企業の役割と重要性、運動の意義「感心・認知・関与・活用・周知」

3.「自主・民主・連帯の精神」とは
①「自主」
・会運営・・・自分たちで創っていく活動
・企業づくり・・・個人の尊厳、独立自尊(×自己卑下、×他者依存)、立志
②「民主」
・会運営・・・支部・委員会・役員会の尊重と活用、事務局の有効活用・労働環境
・企業づくり・・・生命の尊厳、雇用・賃金・労働環境、相互尊重
③「連帯」
・会運営・・・あてにしあてにされる関係、会員同士・事務局・行政その他
・企業づくり・・・人間の社会性、共に活かされている、素晴らしさの最大限発揮
④「一人ひとりの生き方、あるべき地域・日本をつくるために・・・」

4.「国民や地域と共に歩む中小企業」とは
・憲章の精神・・・経済的側面だけでなく社会的側面での中小企業の役割、誇り高く

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初日に2回も「みっちり」と講義を受け討議をしたことと、レジュメの順番通りに話してくださったので、とても分かり易い講義ではあったのですが、それぞれの言葉の意味の深い部分を理解するには、まだまだ時間と勉強が必要なことを痛感致しました。
また、それぞれの言葉の意味するところを自社での出来事(成功例、失敗例)を折り込みながら説明して頂き、改めて同友会活動と自社との経営が密接に関わっていることを理解することが出来ました。

講義の中で一番印象に残ったのは、「講義を受けてメモを取っただけではダメで、それらを実践で活かす必要がある。そのためには、重要な言葉をピックアップし自身のスケジュール帳に毎週の予定として落とし込んで実行しなさい。」というお話で、私も早速実行しようと思います。
(2日間同じテーブルだった、富山同友会の高橋賢さんの会社では既に実践されていました)

その他、講義の中で印象に残った発言をいくつか紹介して、この講のまとめとしたいと思います。
・「何のために経営をしているのか」が分からなければ、正しい方向に会社を持っていくことは出来ない。
→二代目として良いところを見せようと新規事業に参入し、4.5億の投資の末に最終的に撤退した失敗の原因
・物事を数字で捉える習慣をつける。(「大至急やってくれ」では無くて「明日の朝9時までにやってくれ」など)
→数字で捉えることで、「具体的な目標」を掲げることが出来る。伝達する際に「間違い」が起きない。
・自己資本は、利益を上げ、納税をした上でなければ出来ないからこそ、経営上、重要視しなければならない。
・機会損失を防ぐための企業づくりに必要なことは、①課題把握、②役割分担、③進捗チェックの3点である。
・機会損失を防ぐ一番効果的なことは、経営指針に沿った経営を行うことである。(理念の社員への浸透)
・同友会活動で時間が取られた分は、自社で実践することで元を取るようにする。(会社の経営を疎かにしない)
・同友会活動は、機嫌良く、屈託なく、自主的に行う。(なぜ自分ばかりやって、他の人は・・・などと責めない)
・同友会役員の利得・・・①企業づくりがしやすくなる、②自分達で会を作る醍醐味、③地域づくり参加の醍醐味。
・問題点(不平・不満を含む)を単なるグチで終わらせるのではなく、議論の場に持ち込んでしっかり議論をする。


第23回中同協役員研修会イン富山-2

第2講は『半世紀を超えた同友会運動、その歴史と理念に学ぶ~「労使見解」を生み出した中小企業家の知恵と努力、今日的価値について』と題し、赤石義博中同協相談役幹事に、これまた「みっちりと」講義をして頂きました。

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4ページにもわたる、第1講以上に濃いレジュメでしたので、一部省略してタイトルを中心にレジュメを紹介します。

(1) はじめに
1.日常的な視点を磨くために歴史を学ぶ。それを単なる知識ではなく実践的に活かす。
~原因のない結果はない。私たちと私たちの子孫に未来のために、今、何を作り込むべきか~
2.同友会創立者たちは、「現象(結果の)」の「原因をどう判断し」、「どんな新しい原因を作ろうとしたのか」
~自らの努力で獲得できるべくして獲得すべき未来のために~
3.同友会は、「なぜ、できたのか(何を求めたのか)」
① 中小企業家の「正当な努力」を「正当に評価」し、大企業並みに経済政策の対象に。
② 「運動の中で何を磨き上げてきたか(めざすものは何か)」。

(2) 苦難の近代史の中で胎動し、戦後の試練が形成させた同友会理念
~戦後の、またしても大企業優先・官僚統制の動きの中で行動に~
1.同友会創立先輩の底流にあった「視点と思い」
2.労使問題に苦労し、悩まされながらも、本質的な解決策を追求
3.激しい労働攻勢の中で「全社一丸体制づくり」を求めて、ついに「労使見解」(1975年)へ

(3) 同友会理念「自主・民主・連帯」の深い意味の具体的展開「労使見解」精神の実践を
~同友会のいう「人間尊重」の理論的根拠と実践すべき具体的内容~
1.労使見解精神は、人間としての素朴な三つの願いへの具体的対応
~「全社一丸体制づくり」のプロセスで集約され明らかにされた社員の素朴な願い~
① かけがえのない命を大切にしたい。健康でありたい。与えられたいのちを全うしたい。
② 仲間として認められたい、当てにされたい、できれば尊敬されたい。
③ 職場や専門分野で輝く存在を目指すなど、かけがえのない人生を悔いなく精一杯生きたい。
2.前項①~③は、それぞれ民主、連帯そして自主の深い意味と照応している。
~「生命の尊厳性の尊重」、「人間の社会性の尊重」、「個人の尊厳性の尊重」~
3.人間尊重の精神「生きる。くらしを守る。人間らしく生きる。」と「自主・民主・連帯」とのつながり。

(4) 運動の展望と人類の未来 ~人類の未来を担う中小企業・自営業~

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今回初めて赤石相談役の講義を聞いたのですが、レジュメはレジュメ、講義は講義というスタイルだったので、話があちこち飛んでなかなかうまくメモが取れず苦労しました。(第1講で既におなか一杯であったことも原因ですが・・・)
しかし、言葉や数字にうろ覚えの部分が全く無く、90分間淀みの無い講義を行えるのは、長い同友会活動を通して完全に自分のものにされている赤石相談役にしか出来ないスタイルではないかと思いました。

講義の中で、「自主・民主・連帯の深い意味の先に人間尊重の精神がある」「同友会は1962年からずっと労使見解をやって来ているが、最初から労使見解があったわけでは無くて、どうしたら食べていける中小企業になれるのかというところからスタートしている」という二つの内容がとても印象に残りました。

「同友会は経営を勉強する会ではあるが、結局のところ、生きざまを学ぶ会であり、人間尊重の会である」という講義最後の赤石相談役の言葉に、同友会の奥深さを再認識させて頂きました。


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